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普通は「ハイ、○○です」と社名を名乗るはずだが、ただ「もしもし」としか言わない。彩は緊張した。 「あの、スポーツ新聞を見たんですけど」 「ご融資ですね?」 「ハイ」 「ではお名前からお願いします」 突然聞かれて戸惑ったが、吸い込まれるように答えてしまった。 「三井彩」 「失礼ですが生年月日は?」 「昭和60年4月19日です」 「西暦だと?」 「あ、1985年」 「今年おいくつですか?」 「21です」 「では郵便番号から住所をお願いします」 こうして住所、家の電話番号、携帯の電話番号を聞かれ、さらに会社名、会社の電話番号、勤続年数、年収、今住んでいる住居の年数、そして家族構成と、個人情報のほとんどすべてを聞かれるがままに全部答えた。 「ご融資の希望額は?」 「50万です」 「ご利用目的は?」 「引っ越しをするんです。一人暮らしを始めますので」 「わかりました。今ご自宅ですか?」 「ハイ」 「では10分後にこちらから携帯のほうに電話をかけますので、お待ちください」 「ハイ」 電話が切られた。彩はぼんやりと新聞の広告をながめていた。やがて10分が過ぎた。 つづく |
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