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よかった。ホッとした。ディープインパクトが1着でゴールした瞬間の率直な気持ちは、「ホッとした」という感じだ。そのあとからじわりじわりと感動で胸が熱くなってきた。 シンボリルドルフ以来史上2頭目の無敗の三冠馬がついに誕生した。そしてハイセイコー、オグリキャップ級のスーパーヒーローとなったディープインパクト! これからが楽しみであり、今後古馬と対決することにより、さらなる強さを見せつけてくれることを期待したい。 4枠7番。444キロ。出走馬の中でいちばん軽い「小さな巨人」。フジテレビもスペシャルゲストとして岡部幸雄さんと杉本清さん。杉本さんが語る。「これほど盛り上がっている菊花賞は初めてだし、放送もこんな大がかりなことをしたことはありませんでしたから」 21年前を振り返って岡部さんは、「走れば強いのはわかってましたから、十二分に安心していました」とシンボリルドルフの実力の凄さを改めて証言。当日はプレッシャーよりも、「わくわくしていた」と。 水曜日の武豊騎手のインタビュー。 「やっぱり責任感じますね。やり直しがきかないですから。せっかくここまで来て、自分のミスで負けるようなことは絶対に避けたいし、何とか三冠取らせたいですね」 杉本清さん、若槻千夏チャンを始め、皆が口にしていたのは、「未だかつてない緊張感」という言葉だ。何か、厳粛な雰囲気さえ漂う京都競馬場。 パドックには大勢のファンが詰めかけていた。シーンと静まり返る張りつめた空気。馬が凄く敏感な動物であることは、競馬ファンは知っている。心ある人ならば、自分のせいで歴史的な大レースを壊すようなアクションは、起こすはずがない。 13万人をはるかに超える入場者数は、菊花賞レコード。ディープインパクトの単勝は1.0倍。支持率79.1%。地下馬道でも、7番のディープインパクトを最後に歩かせた。やり過ぎと思うギャンブラーもいるかもしれないが、実力以外のアクシデントでディープが敗れることだけは、絶対にあってはならない。そういう主催者の緊迫感を感じ取った。 本馬場入場。凄まじい大歓声にディープも少し反応したが、走り出してからは、軽快なフットワークをファンに披露した。 そして衝撃のファンファーレ。今までの菊花賞とは違う音色に聴こえた人は、一人や二人ではないと思う。 ディープの唯一の欠点はスタートの悪さだ。スタートさえ無事なら勝てる。 スタート! きれいなスタートだ。まずは成功。しかし、エキサイトしているのか口を開けてどんどん前の方へ走っていく。武騎手は必死になだめる。1000M通過したあたりから徐々に落ち着きを取り戻す。ディープはいつもと違い中段の内。3000Mなら後方よりも安全な位置取りか。 安定した走り。アクセルを踏んだのか、一気にスピードが上がった。4コーナー。粘るアドマイヤジャパン。しかしターフのド真ん中を力強く駆け抜けるディープインパクト! 大歓声を浴びながら先頭に躍り出た! 1着でゴールイン。強すぎる。強すぎる。文句なし。完璧。完全勝利を果たしたディープインパクトと武豊! 「ユタカコールと、ディープコールが交差して京都競馬場にこだまします」と石巻アナ。 「こういうときは、安堵感が先でしょう」と岡部さん。 武豊ジョッキーの勝利インタビュー。 「感無量です。改めて強い馬だなと。ホッとしました。よかったです」 「嬉しいですよ。責任感じていましたから」 「スタートがうまく行き過ぎて、押さえるのに、なだめるのに、苦労しました」 「今までに聞いたことがない歓声でしたね」 「次のことは考えられないですね、今は。とにかく落とせないレース。負けられないレースだったので」 アナウンサーが、「では最後に、全国のディープファンに一言お願いします」と言うと、武騎手は笑顔で、「おめでとうございます」。意表をつく答えに笑いが広がった。 表彰式でディープインパクトにまたがり、三本指を立てる武豊騎手。その雄姿を見ながら井崎センセは、「あの武さんでも胸がつまることがあるんだなあ」。それに答えるように、杉本さんが、「最初馬をなだめるのに相当苦労したと思いますよ」と。岡部さんもさすが名騎手。「武君は祈るような思いで、とにかく落ち着いてくれと思ってたんじゃないですか」と解説した。 最高のエンターテイメントとは、やはり真剣勝負の結果からしか生まれないということを、改めて知らされた。 それにしても、武豊騎手に限らずジョッキーのアイアンハートには恐れ入る。プレッシャーなんて言葉ではとても表現できない重責。重圧。2着すら許されないレース。そういう勝負で見事勝ってしまうのだから、本当に凄い。素晴らしい。最高の敬意を表して、 「おめでとうございます。武豊騎手とディープインパクト!」 (2005.10.23) ディープインパクト ~日本近代競馬の結晶~ (HD-DVD)
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